窓・サッシの種類と特徴
窓・サッシ選びのポイントは、間取りプランに適した使い勝手やデザイン、そして、断熱性や遮音性、防犯性といった性能に配慮することが重要です。各メーカーからは、さまざまな素材やデザイン、性能を高めた豊富な商品が揃い、プランや空間、使い勝手に合わせて選ぶことができます。
アルミ、樹脂、木製etc. 主なサッシ素材の種類と特徴
一般的に、窓は、サッシ+ガラスで構成されたもの。サッシとは、窓の上枠・下枠・たて枠で構成された窓枠の中の框(かまち)と組子のことですが、窓枠全体を指していることが多いので、通常、「窓を選ぶ」という場合は、「サッシとガラスを選ぶ」ということになるでしょう。
サッシの素材として馴染みがあるのが、アルミサッシ。最近では、断熱性を高めた複合サッシ、樹脂サッシ商品もみられます。
■アルミ 強度があり軽量、防火性に優れる
強度もあり、耐候性や防火性に優れた素材。軽量なので、開けたり閉めたりする時に、操作がしやすいのが特徴。しかし、熱伝導率が高いので、断熱性にやや劣ります。腐食しにくく、サビにも強い素材ですが長期間埃などが付着していると腐食することもあるので、日頃のメンテナンスも大切でしょう。
■樹脂 熱伝導率が低く、高い断熱性を持つ
主な材料は、塩化ビニール樹脂。熱伝導率が低く、断熱性に優れる材質。複層ガラスとの組み合わせによって、高い断熱性を得ることができるので、寒冷地(北海道や東北地方など)での使用されるケースが多くみられます。一般的には、アルミよりも強度が弱いので、厚みのある構造となります。
■木製 質感や風合いが大きな魅力
質感や風合いが魅力の木製サッシですが、腐食や磨耗などの耐久性にやや劣るのは否めません。無垢材だけを用いたもの、集成材・積層材を用いたもの、それらを組み合わせたものなどもあり、それぞれ、木製サッシのデメリットである、経年による塗装の劣化や腐食、木の狂いなどを克服するための工夫がなされています。木材を充分に乾燥させたり、特殊な構造で気密性などを高めた製品もみられます。
■複合サッシ アルミ+樹脂、アルミ+木製などの組み合わせ
異なる素材を組み合わせたサッシは複合サッシと呼ばれ、たとえば、室外側にアルミ、室内側に樹脂や木を組み合わせるなどしたものなどがみられます。それぞれの素材の特徴を活かした商品がでています。
組み込むガラスによって窓の性能は変わる
サッシに組み込まれるガラスにもさまざまな種類がみられ、用いるガラスによって窓の性能は大きく変わってきます。
ガラスは、大きく分けて一般ガラスと機能ガラスがあり、一般ガラスは、「フロート板ガラス(透明ガラス・単板ガラス)」や破損しても破片が飛び散らないように金属網を封入した「網入板ガラス」、ガラスの片面に型模様をつけた不透明の「型板ガラス」など。機能ガラスは、2枚または3枚の板ガラスの間に、乾燥した空気の層を封入することで断熱性を高めた「複層ガラス」、衝撃強度、曲げ強度を高めた「強化ガラス」、割れても飛び散ることがほとんどない「合わせガラス」と呼ばれるものがあります。
また、「複層ガラス」には、Low-E金属膜をコーティングした「高断熱複層ガラス」や「遮熱複層ガラス」などの種類もあります。設置する地域エリア、間取りプランに合わせ必要な機能を持つガラスを選ぶことが大切です。
断熱性能を高めた商品バリエーションも豊富に
住まいの高気密・高断熱化は進み、断熱性能の高いサッシ商品も充実してきています。室内側と室外側のアルミサッシの間に特殊な部材を挟んだり、室内側のサッシを木製や樹脂としたものなどを用いるなど、各メーカーごとに工夫を施した商品がみられます。
断熱性能を高めた樹脂サッシの商品も増えてきており、サッシ枠をスリムにすることでガラス面積を広げ、すっきりとしたインテリアを実現できるものなどもみられます。
多種多様なデザインが揃う。シャッターや網戸などを組み合わせたタイプも
窓サッシのデザインや形状には、引き違いや上げ下げ、内倒しやすべり出し、ルーバー窓やトップライトなど数多くスタイルが出ています。最近では、開口部を広く取ることのできる窓、丸型や正方形、細めの長方形などのデザインも多くみられ、いくつか並べることで、外観デザインのポイントとしたり、プライバシーを保ちつつ採光や通風を確保するケースも。また、シャッターや面格子、網戸などを組み合わせたタイプもあるので、用途に合わせて選ぶようにしましょう。
窓デザインや形状を選ぶ際に注意したいのは、デザイン性だけでなく、空間に適した開閉方法か、開閉操作の使い勝手、網戸の形状やお手入れ方法などを確認しておくこと。また、外部からの見え方と室内側からの見え方の両面から検討することも大切でしょう。
既存の窓や開口部に設置しやすいリフォーム向けの商品も多くみられる
使い勝手や断熱性能を高めるために窓のリフォームを行うケースも多くみられ、最近では、既存の窓枠や開口部にも設置しやすいリフォーム向けの商品も増えてきています。施工がしやすく、短い工事期間で設置できるのが特徴でしょう。
また、既存の窓(アルミサッシや木製の窓)の室内側に設置する内窓の商品も揃っています。既存のサッシはそのままなので、大掛かりな工事を伴わずに取り付けることができるのが特徴です。内窓を設置することで、既存の窓との間に空気層が生まれ、外気温の影響を受けにくくなるため、断熱性能だけでなく防音(遮音)性能も高まるのもメリットでしょう。
このように窓(サッシ)には、多くの種類があり、それぞれに特徴があるので、使う場所、目的に合わせて、性能やデザイン性などさまざまな角度から検討し、選ぶことがとても重要です。住まい全体のプラン、窓に必要な機能など、設計担当者と相談しながら敷地条件や地域性なども含めて、プランニングするようにしましょう。